理想の住まい

理想の住まい

私が思う理想の住まいとは端的に言いますと

「愛着の持てる住まい」

この一言です。
カタチや機能性に差はあるとしても愛着が持てるということほど、住み続ける上で心強い理由はないかも知れません。
もちろんそのカタチや機能性が愛着というものを作り出す一要素になっていることは間違いないのですが。

では「愛着が持てる住まい」の条件とは一体なんでしょう?
私の中ではいくつか答えが見つかっています。

「生活しやすい住まい」
「飽きのこない住まい」
「上手に年を重ねる住まい」
「変化に対応する住まい」
「経済的な影響が少ない住まい」
「安心なすまい」

・・・思いつくのはそんなところでしょうか。
それぞれを簡潔ながらご説明いたします。



生活しやすい住まい

生活しやすい住まいとは読んで字のごとくです。
住まいとは生活する場なので、生活しやすいことが何よりも大事なことになります。
それを得るためにまず優先すべきことは快適な生活環境をつくり上げることです。
快適な生活環境とは主に光・風・気温などでしょうか。
私はできる限り自然の恩恵を活用することが住まいの基本であり、人間の基本でもあると考えています。
自然が及ぼすプラス・マイナスの影響を把握しつつ、設計に取り入れることが大切だと思います。

また生活に支障をきたす見栄にしかならないようなデザインや仕組みは、住宅という建物において一切不要と考えています。



飽きのこない住まい

住まいというのは住む方の手が入って初めて完成するものです。
住む方それぞれ趣向やライフスタイルが違いますし、それもまた年月を重ねるごとに変化していきます。
そのような変化に合わせやすい・・・そんな住まいが飽きのこない住まいと考えられます。
よって変化に対応が困難なベースとなる部分はできるだけシンプル(単純明快)で控えめにする方が最善の選択と言えます。



上手に年を重ねる住まい

建物は人間同様年を取ります。
床や壁、扉または設備機器など、使われている材料全て年を取っていきます。

私は古い建物が好きです。
今でも残っているということは建物それぞれに理由があると思いますが、一つ共通して言えることは皆上手に健全に年を取っているということです。
もちろんそのことが建物への愛着へ繋がっているケースがほとんどだと思いますが。

私の理想としては古い建物のように、自然素材を存分に使いたいです。
しかしながら自然素材の採用はそんなに甘いものではありません。
メンテナンスが大変だったり、コストが高かったりと問題はたくさんあります。
そんな問題を踏まえた上で、できるだけ採用を考え続け、研究を重ねることが私のするべきことと考えています。

ついでにイミテーション(模造品)的な要素を持つ材料は、住宅において見栄にしかならず、年の取り方が不自然なため、できる限り採用を避けています。



変化に対応する住まい

上記にも書いた通り、住む方の趣向やライフスタイルは多少なりとも変化します。
趣味の部屋や子供部屋が欲しくなったり、逆に子供たちが家を離れ部屋が余ったりと様々なケースが考えられます。
住宅自体の大きさは増築しない限り変えられませんが、予想できる範囲であらかじめ設計することは十分可能です。
伝統的な日本家屋の続き間のフレキシブルな構成は、現代こそ生きる仕組みだと思います。
お施主さまとその住まいの将来を十分に語り合い設計に生かすことが、将来も愛し続けることのできる住まいづくりの第一歩と考えております。

上記のことから建売住宅において困難なことはお分かりですね。



経済的な影響が少ない住まい

どんなに素晴らしい住まいだとしても、経済的に大きな影響を与える住まいは当然ながら持つべきではありません。
理想の住まいに近づけつつ、経済的な負担は少なくしたい。
住宅を建てる方はどなたでも一度は考えることです。
設計士として私自身コストダウンの方法はいくつか知っていますが、絶対に外せない条件があります。

「不必要なスペースを作らずコンパクトに」
「機能性を損なわずにできるだけシンプルに」
「見栄を張らない」

これらの条件はコストダウンだけではなく、私の考える品のある住まいづくりにも十分影響してきます。
一石二鳥と言ったところでしょうか。
いずれにしても全体的なコストバランスは実績を見て判断していただく他ないと考えています。



安心な住まい

そもそも建物というのは雨風や外敵から身を守るためにあります。
構造についての考え方は特に他の住宅と大きな差異はないと思います。
ただ自分でも力の流れが読めないような奇抜で変わったカタチの住宅は正直必要ないと考えています。
それとは別に安全性についても考えはハッキリしています。
住宅はいつでも安心して体を預けられる・・・そんな存在であって欲しいと考えています。
例えば最近デザインを優先した頼りない手摺などを見かけますが、実際に自分が住む気持ちになってシュミレーションを行ったか甚だ疑問に思います。
そのような事柄についてはもちろんお施主さまの意向であっても徹底的に説明する義務はこの仕事にあると思います。



以上「愛着が持てる住まい」の条件を簡潔に説明いたしました。

愛される住まいには明確な理由があるはずです。
そのような住まいを目指し設計に取り組んでいきます。